自覚症状のみの場合でも後遺障害は認定されるか
1 自覚症状のみの場合でも後遺障害が認定されることがある
後遺障害の認定を獲得するには、手足の切断や骨折などの他覚的に異常な所見が確認できなければならないと思われる方が少なくありません。
しかし、他覚的な所見がなくても、自覚症状のみの場合で後遺障害の認定を受けられることはあります。
例えば、交通事故の怪我でよくみられる、むち打ち症状では自覚症状のみである場合が多いですが、後遺障害等級14級9号の認定がなされることがあります。
以下、ご説明します。
2 後遺障害等級14級9号の認定基準と考え方
神経症状に関する後遺障害の認定基準について、14級9号では「局部に神経症状を残すもの」、12級13号では「局部に頑固な神経症状を残すもの」とされています。
12級13号は、医学的な証明が必要とされ、他覚的に神経系統の障害が確認できるものでなければならないとされる一方、14級9号は、他覚的に神経系統の障害が証明されないけれども、医学的に説明可能なものとされていいます。
したがって、神経症状に関して他覚的所見がなく自覚症状のみであっても、神経系統の障害が医学的に説明可能であると判断されれば、14級9号の認定がなされます。
3 どのような場合に医学的に説明が可能といえるか
医学的に説明が可能か否かは、受傷態様、治療経過、症状の経過などから、症状が受傷から一貫して継続していることが認められることや、自覚症状が単なる誇張でないと医学的に推定されることが考慮されます。
実際に受傷から一貫していても、診断書等から窺えなければ認定はなされません。
したがって、普段の受診のときから、症状を適切に医師に伝えていくことが大切です。
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