高次脳機能障害で看護が必要になったときの賠償
1 高次脳機能障害における看護
交通事故で脳を外傷すると高次脳機能障害となり、社会的な様々な能力が減退することがあります。
重度の高次脳機能障害である場合には要介護状態となり、後遺障害1級や2級に該当したり、また、それらの等級に至らなくても、見守りや一部介助を要する状況になったりすることがあります。
このように、介護・看護(以下「介護等」といいます。)が必要となると、介護等のために様々な支出を余儀なくされます。
以下では、高次脳機能障害で介護等が必要になったときにどのような賠償を求めることができるかについて、ご説明します。
2 入院付添費
入院中は完全看護が原則ではありますが、医師の指示等によって家族も介護等していた場合には、1日6500円程度を目安に入院付添費が認められることがあります。
もっとも、介護等の必要性の程度や求められる介護の負担の程度などに照らし、増減されることがあります。
3 在宅付添費
自宅で介護等を要した場合に賠償の対象となります。
入院付添費の目安を参考にしつつ、介護等の必要性の程度や介護の負担の程度などに照らし、増減されることになると思われます。
4 将来介護費用
症状固定後において、近親者による介護等や専門職による職業介護が必要となる場合に認められます。
おおまかではありますが、職業付添人による場合には1日1万5000円から2万円程度、近親者による場合は1日8000円程度を目安としつつ、随時の介護やそれを下回る介護等の必要性である場合には、一定程度減額される可能性があります。
将来介護費用は多額になるため、将来介護費用を請求する場合には、後遺障害の程度、介護等の必要性の程度、及び、介護等による負担の程度などの具体的事情を説得的に主張立証していく必要があります。
5 装具・器具等費用
介護用ベッドなどの介護用品の支出も損害賠償の対象に含まれます。
ただし、介護用品を購入するほどの介護等の必要性があったか、また、購入金額が相当かといった点は問題となります。
6 将来の装具・器具等費用
症状固定後に生じる装具・器具等の購入費用のことです。
賠償の対象に含まれますが、5と同様、介護等の必要性や購入金額の相当性などが問題となります。
7 家屋・自動車等改造費
事案によって、居住家屋について、バリアフリー化したり、車椅子用のスロープを設置したり、エレベーターを設置しありすることがあります。
これらについても賠償の対象となりますが、介護等の必要性や購入金額の相当性が問題となります。
加えて、家族もエレベーターなどを利用することで利便性という利益を得ていると評価される場合には、購入・設置費用から一定程度減額した金額を損害額とすることもあります。
8 成年後見に関する費用
介護等が必要である状態では、判断能力の程度によって、本人の身上看護や財産管理のために成年後見人を付すべき場合があります。
この場合、本件事故によって成年後見開始申立手続を余儀なくされたといえるため、その申立手続に要した費用や、後見人の報酬などは賠償の対象に含まれます。
ただし、必要かつ相当な範囲に限られます。
9 当法人にご相談ください
高次脳機能障害で介護等が必要となった場合、これまで挙げたように、様々な損害費目を賠償請求することができます。
他方で、必要性や相当性について説得的に主張立証しなければなりません。
特に、将来介護費用や家屋・自動車等改造費は多額になりやすいため、保険会社も積極的に争ってくることが多いです。
介護等に関する適切な賠償を獲得するためには、交通事故に精通した弁護士に依頼されることをお勧めします。
当法人では、交通事故チームを作り、適切な補償を受けられるよう、徹底して取り組んでおりますので、高次脳機能障害が問題となる場合には、お気軽に、弁護士法人心 岐阜法律事務所にご相談ください。
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