高次脳機能障害の等級が認定されない場合
1 高次脳機能障害の等級
高次脳機能障害は、脳損傷が原因で、意思疎通能力、問題解決能力、作業負荷に対する持続力及び社会行動能力などに障害が生じるものです。
交通事故でこれら障害が生じた場合、その程度によって、1級1号、2級1号、3級3号、5級2号、7級4号及び9級10号の等級認定がなされます。
ただし、事案によっては、より低い12級や14級の等級認定や、非該当の場合もあります。
高次脳機能障害として想定する等級認定がなされなかった場合の対応について、以下ご説明します。
2 認定理由を確認する
等級認定の結果とともに認定理由が記載された書類が送付されるので、まずは、その内容が合理的なものか否か確認します。
意思疎通能力、問題解決能力、作業負荷に対する持続力及び社会行動能力の減退の程度は、申請時に提出した、「後遺障害診断書」、「日常生活状況報告」及び「神経系統の障害に関する医学的意見」の3点を中心に判断されます。
そのため、これら3点の書類の内容を適切に認定理由で考慮されているか、という観点で確認します。
確認の結果、認定理由が合理的でないと考えられる場合には、不服申立てを検討します。
3 不服申立てを検討する
⑴ 異議申立て
不服申立て手続として、まず、異議申立てがあります。
これは、自賠責保険会社に対して後遺障害の認定について再考を求める手続です。
高次脳機能障害の事案では、自賠責保険審査会が開かれ、外部の専門家も参加して審理が行われます。
回数制限はなく、何度でも行うことができます。
もっとも、同じ資料で異議申立てをしても、同様の判断がなされる可能性が高いため、必要に応じて、高次脳機能障害による各能力の減退を示す資料、例えば、医師の意見書やカルテなどの提出も検討します。
⑵ 紛争処理機構への申請
紛争処理機構は、自賠責保険による損害認定の最終判断機関であり、1回しか利用できません。
そのため、異議申立てを行い、その結果に不服がある場合に紛争処理機構へ申請することが一般的です。
紛争処理機構の判断結果にも不服がある場合には、裁判による解決を図ることになります。
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