赤本・青本-交通事故の適切な慰謝料とは?
1 交通事故における慰謝料とは?
慰謝料は、交通事故の被害者等が保険会社等から支払ってもらえる賠償金の項目の中の一つであり、精神的損害に対する賠償として支払われる金銭です。
慰謝料に関しては、実務上、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の区分に従って考えられています。
2 精神的損害を金銭に換算する方法とは?
同じ交通事故に遭った方が複数いたとします。
この場合、同じ交通事故に遭った方々には同じ精神的損害が生じると考えてよいのでしょうか。
そもそも精神的損害を金銭に換算できるのか、金銭に換算できるとしてどのように換算するのだろうかと疑問に思われる方も多いと思います。
被った精神的損害を金銭に換算することは大変難しいですが、慰謝料は適切に支払われなくてはいけません。
そこで、保険会社や裁判所がどのように精神的損害を金銭に換算しているのか見てみましょう。
⑴ 保険会社の換算方法
多くの保険会社は入通院を何か月したらいくら慰謝料をいくら支払うなどといった形式的な内部基準を有しており、その基準に従い形式的に慰謝料を支払う傾向にあります。
⑵ 裁判所の換算方法
裁判所は、これまで多くの交通事故における慰謝料の額を判断してきています。
そのため裁判所は、その判断してきた結果を交通事故の態様ごとに類型化し、それを参考にしつつ個別事情等も勘案して、慰謝料の額を決定する傾向にあります。
裁判所の判断を類型化しまとめた本として赤本と青本と呼ばれる本が発行されています。
私たち弁護士は、裁判所の判断方法にならい、この赤本と青本をもとに慰謝料の目安を考え、そこに個別の被害者の方の事情を勘案した上で、適切な慰謝料の額を考えていきます。
3 保険会社の内部基準と赤本・青本基準の違い
保険会社の内部基準と青本・赤本の慰謝料の基準では何が違うのかといいますと、保険会社の内部基準のほうが赤本・青本等の慰謝料金額よりも低く定められている傾向にあります。
保険会社の多くは、できるだけ保険金の支払いを抑えたいと考えていることが多いからです。
ですから、保険会社は、裁判をしたら実際に認められる慰謝料額よりも低めの金額を被害者の方に提示してくることが多いです。
被害者の方が保険会社との交渉等を通じて適切な賠償を受けることは必ずしも容易ではありませんが、弁護士が間に入り適切な交渉を行うことができれば、より高額な赤本・青本基準での慰謝料を受け取れるようになる可能性があります。
交通事故の適切な慰謝料を受け取りたいとお考えの方は、一度弁護士までご相談ください。
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