死亡事故について
1 ご家族が交通事故で亡くなった場合
交通事故でご家族が亡くなった場合、精神的に大変おつらい中、お葬式、お通夜、四十九日などの対応をしなければならず、様々な支出も生じます。
このように、どのような支出が賠償に含まれるかといった問題は早い段階で生じます。
また、加害者の任意保険会社からもご遺族に対して、早い段階から連絡が入り、その対応も行わなければなりません。
ここでは、死亡事故の場合に、ご遺族のご負担を軽減させるための対応や、ご遺族が適切な補償を獲得するための対応について、ご説明します。
2 弁護士に早めに相談・依頼する
ご遺族は、どのような支出が賠償されるのか、また、いつごろ賠償されるのかなど、見通しが分からず、精神的な負担となっていることが少なくありません。
弁護士に相談すれば、今後の手続きの流れや、賠償の範囲や時期についての見込みを知ることができます。
また、弁護士に依頼して保険会社対応をお任せすれば、ご遺族の負担を大きく軽減させることもできます。
3 示談を急がない
交通事故の案件では保険会社は示談解決を急ぐ傾向にあります。
とりわけ、死亡事故ではその傾向は強いといえます。
その理由として、死亡事故では加害者が起訴されることが多く、被害者側と示談成立すれば、加害者の量刑判断において有利な証拠となることが考えられます。
しかしながら、被害者側がこの要請に応じるべき理由はありません。
保険会社が示す賠償金額が適切といえるか、過失割合が妥当かなど慎重に検討しなければならず、争うべき事案であれば裁判も考えなければなりません。
少なくとも、示談書にサインする前には、必ず、弁護士に相談するようにしましょう。
4 領収書など支出を示す証拠を保管しておく
死亡事故では、お葬式やお通夜など事故直後から様々な支出が伴います。
しかし、支出を裏付ける証拠がないと請求しても賠償されません。
請求する時点でどれを請求するか精査すればよいので、とりあえずは、認められるか否かはさておき、領収書など支出を裏付けるものは全て保管しておきましょう。
なお、葬式や四十九日のお布施は、通常、領収書が発行されないため、いつ、だれに(お寺の名称・所在地・連絡先など)、どのような名目で、いくら渡したのかなど、具体的にメモを残しておくようにしましょう。
5 弁護士を入れて解決を図る
死亡事故では、治療費、葬儀費用、死亡慰謝料、近親者慰謝料、死亡逸失利益などの損害について賠償請求していきます。
これらの賠償金額は一般的に多額になることが多く、事案ごとにしっかりと金額や過失割合の妥当性などをチェックしなければならないため、弁護士を入れて適切な解決を図るようにしましょう。
死亡事故で受け取れる慰謝料の金額
1 死亡事故で受け取れる慰謝料の種類
死亡事故の場合、損害賠償として慰謝料を請求することができます。
具体的には、死亡慰謝料や近親者慰謝料です。
また、亡くなるまでに一定の入院期間があれば、傷害慰謝料も請求することができます。
以下では、死亡慰謝料と近親者慰謝料について説明します。
2 死亡慰謝料
⑴ 死亡慰謝料とは
死亡したことの精神的苦痛による慰謝料であり、被害者が請求権を取得します。
しかし、被害者は亡くなっており請求できないため、通常は、被害者の相続人が請求します。
⑵ 自賠責基準の場合
自賠責基準では一律400万円とされています。
⑶ 弁護士基準の場合
弁護士基準では、遺族の生活へのダメージの大きさに応じて、目安額が定められています。
具体的には、交通事故訴訟で一般的に用いられる、「赤い本」では、「一家の支柱」である場合には、遺族の生活維持への配慮が大きいとして2800万円、次に、「母親・配偶者」である場合には2500万円、さらに、「その他(独身の男女、子供、幼児等)」の場合には2000万円から2500万円が目安とされています。
また、いわゆる「青本」では、「一家の支柱」では2800万円から3100万円、「一家の支柱に準ずる」場合に2500万円から2800万円、「その他」の場合に2000万円から2500万円とされています。
もっとも、「赤本」や「青本」の金額はあくまで目安にすぎないため、より精神的苦痛が大きいとする特別な事情があれば、目安額を超える金額で請求することになります。
3 近親者慰謝料
⑴ 近親者慰謝料とは
被害者の近親者も、死亡事故により精神的苦痛を被っており、近親者固有の慰謝料が認められます。
⑵ 自賠責基準
自賠責基準では、近親者に、被害者の父母(養父母を含む)、配偶者及び子(養子、認知した子及び胎児を含む)が含まれます。
また、その額は、請求者人数により異なり、1人であれば550万円、2人であれば650万円、3人以上の場合には750万円とし、被害者に被扶養者がいる場合にはこれらの金額に200万円を加算します。
⑶ 弁護士基準
近親者には、被害者の父母、配偶者、子、およびそれと実質的に同視できる身分関係にある者が含まれます。
赤い本や青本では目安とされる額はなく、事案ごとに相当とされる金額を請求することができます。
しかし、一般的に、赤い本や青本における死亡慰謝料の額は、被害者本人と近親者固有分の慰謝料の総額であると考えられています。
すなわち、死亡慰謝料のみを請求した場合と、死亡慰謝料と近親者慰謝料を別々に請求した場合とでは、総額が変わらないことになります。
もっとも、死亡慰謝料の金額みでは評価しつくされていないとして、死亡慰謝料に加えて、近親者慰謝料も請求することもあります。
4 弁護士法人心 岐阜事務所にご相談ください
弁護士が介入すると、赤い本またはそれに近い金額で死亡慰謝料の交渉ができることが多いため、死亡事故の賠償交渉では、必ず、弁護士にご相談ください。
当法人では、死亡事故の案件を多数取り扱った実績があり、また、原則無料で相談対応をしておりますので、保険会社から示談の提示書面が届いた際には、お気軽に弁護士法人心 岐阜法律事務所にご連絡ください。
死亡事故における過失割合
1 死亡事故における過失割合
交通事故では双方当事者が主張する事故状況が異なり、過失割合で揉めることが少なくありません。
この点、死亡事故の場合、一方当事者が亡くなっているため、被害者側の言い分は表にでてこないという特殊性があります。
そのため、捜査機関が作成する実況見分調書も加害者の言い分のみをもとに作成されてしまいがちです。
したがって、死亡事故の場合には、事故状況を示す証拠の収集を早急に行うとともに、加害者が主張する過失割合の妥当性の検討も必要です。
2 客観証拠の有無について
ドライブレコーダーの映像や防犯カメラの映像があれば、早急にデータを確保しておくべきです。
いずれも上書きされるまでの期間が短く、とりわけ、ドライブレコーダーのデータは極めて短時間で上書きされてしまいます。
また、目撃者がいる場合には、連絡先などを交換するとともに、目撃した内容を早めに書面化しておくべきです。
3 車両の損害状況
事故車両の損傷状況等から、どの方向から衝突したか、一方の車両は停止していたかなどの鑑定が可能かもしれません。
鑑定費用は高額であることが多いですが、弁護士費用特約が付帯していれば、その特約で対応できる可能性があります。
4 裁判例調査
事故状況が特定しても、加害者側が主張する過失割合が必ずしも妥当とは限りません。
とりわけ、典型的な類型の事故でない場合、保険会社側は有利な裁判例を持ち出して、被害者にとって大きく不利な過失割合を主張してくることがあります。
このような場合、保険会社が主張する裁判例が今回の事件に参考とすべきものか検討が必要であるし、また、被害者側も事故態様が類似する裁判例を調査する必要があります。
5 弁護士法人心にご相談ください
死亡事故の場合には賠償金額が高額になりやすいです。
そのため、保険会社は過失割合を含め多くの争点で争ってくることが想定されます。
したがって、適切な賠償金額を獲得するには、交通事故に強い弁護士にご相談されることをお勧めします。
当法人では、交通事故を集中的に取り扱う交通事故チームが徹底してフォローいたします。
ご家族等が死亡事故に巻き込まれたときには、お気軽に弁護士法人心 岐阜法律事務所にご相談ください。