交通事故の遅延損害金
1 遅延損害金について
交通事故によって,車を損壊されたり,怪我をしてしまった被害者の方は,加害者に対して,交通事故によって発生した損害について損害賠償請求をすることができます。
例えば,車の修理費用や,治療費,慰謝料等の請求です。
ところで,これらの損害賠償以外に,遅延損害金という損害賠償の項目についてご存知でしょうか。
遅延損害金とは,金銭の給付を目的とする債務が履行されない場合に,その債務不履行による損害に対して支払われる賠償金のことです。
なお,法律の専門でない方からすると,「利息」のようなものというとイメージが持ちやすいかもしれません。
ただし,「利息」はあくまで利息に関する契約に基づいて発生するものであって,期限どおり金銭給付をしなくても支払が必要であるのに対して,「遅延損害金」はあくまで金銭給付の債務不履行があって初めて認められるものであり,法律上はまったく別のものです。
このように,遅延損害金とは金銭給付を目的とする債務が履行されないという状況になって初めて認められるものです。
2 いつから遅延損害金が発生するのか?
では,交通事故の損害賠償については,どの時点で,債務不履行になるのでしょうか。
この点について,最高裁判所は不法行為による損害賠償債務は,損害の発生とともに遅滞に陥り,損害は,事故時に発生すると判断しています。
なお,交通事故は不法行為の一つと考えられています。
つまり,交通事故の遅延損害金については,交通事故の遭ったその日から債務不履行となって,加害者が支払い義務を負うという結論になります。
もっとも,弁護士以外の一般の方が,加害者及び加害者の加入する保険会社との間で,遅延損害金について金額を計算して交渉するのは容易ではありません。
というのも,遅延損害金は,本来の損害賠償金の金額の年5%(民法改正後についてはこの限りではありません。)の割合の金額で計算されるため,慰謝料等の本来の損害賠償金の金額を先に決めなければならないからです。
遅延損害金の計算も含めて,適切な損害賠償を加害者から獲得するためにも,交通事故の被害に遭われた方には,まずは弁護士に相談することをお勧めいたします。
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